社主 関谷一雄 挨拶

今回『日中言語文化出版社』を立ち上げる 関谷 一雄は、現在 有限会社 扶桑印刷社代表取締役を務めております。
有限会社扶桑印刷社は、昭和21年に初代社長である関谷房雄が活版印刷業 扶桑印刷として設立し、昭和28年4月に組織を法人化し有限会社扶桑印刷社となりました。
二代目である関谷米範によってそれまでの下請け専門の印刷業から企業から直接仕事を請け負う形に業態に変え、さらに三代目である私が昭和53年入社後、それまでの活版印刷専門からオフセット印刷へと設備を入れ替え、主に商業印刷物としてカタログ・パンフレット・チラシ類の印刷を中心に行ってきました。
平成14年その前年に立ちあがった大阪公立大学共同出版会(OMUP)から出版物の制作を依頼され、その後現在に至るまで大阪公立大学共同出版会の多くの出版物の制作を行い、本の制作のノウハウを蓄積してきました。

私が、出版を志すことになった一つのきっかけがあります。それは、知人から「扶桑印刷さんでは絵本を作れますか」という質問を受けたことから始まります。
お話を伺うなかで、その方のご家庭に障害をもったご子息がおられ、そのご子息が小さいときから電車が好きでそして電車の絵を描くのが大好きで、ずっと書きためてきた電車の絵がたくさんあり、その絵をつかって絵本を作りたいということが分かってきました。
当初私は、自費でお作りになられるのだから、少しでも費用を安くしたものにした方がよいと考え、そのようなご提案を重ねてきましたが、どうもお母様と話が合いませんでした。さらに打ち合わせを重ね、ご要望を聞くうちに、お母様はその絵本をご子息が生きてこられた証として作りたいそしてその作った絵本を一人でも多くの人に見てもらいたい、そのためにも出来ればその絵本を書店流通させたい、そんな気持ちが伝わってきました。
そこで、大阪公立大学共同出版会で知り合いになった星湖舎の金井社長に協力をお願いして、ISBNコードの付いた一般流通本としてその絵本『でんしゃ』を作ることとなりました。
そして、金井社長のお力で、ご家族のお知り合いが多い地域の大型書店に置いて頂くことができました。
その『でんしゃ』が書店の店頭に並ぶ日、そのお母さんとご子息を連れて書店にお願いをして記念撮影を行いました。本を手に持って喜んでくださるその時のお二人の笑顔、本当にこれが満面の笑みというのかと思いました。この時、私はお客様(著者)の心を本に込めて世に出すお手伝いをする出版業はなんて素晴らしいものかと感激をし、将来出版業がしたいという思いが芽生えました。

『でんしゃ』の出版後、今までの印刷業という部分も活用でき、出版という事業を通して何か人のためになることが出来ないかと考え『挑戦する中小企業 in OSAKA』と題した本の出版を企画しました。
元気がないと言われている大阪の中小企業のなかでも、その独自性や活動で元気に光り輝いている中小企業があることに気づき、この本でそんな元気な中小企業を紹介し、そしてこの本を読んだ中小企業の経営者たちがそこからなにかを掴んだりまた元気をもらったりすることによって、また一歩元気になり大阪の中小企業の活性化の一助になればと企画したものです。この本も星湖舎金井社長のご協力で星湖舎から出版しました。

今回の出版社の立ち上げは、これまでの経験をふまえてのことでもありますが、以前からの知人である大阪府立大学人間社会学部 教授 張 麟声先生から、張先生が主宰しておられる「中国語話者のための日本語教育研究会」が、今春より全国規模の学会となり、今後なにかと出版する機会が多くなるので協力してもらえないかとお話をうけたことがきっかけとなっております。
さらに、現在「中国語話者のための日本語教育研究会」の会員の先生方のなかでも、自分の著書を出したい方が多くおられるそうですが、なかなか経済的に余裕がなく多大な費用をかけての出版はできずにおられることが多いそうです。
そのような先生方の出版のお手伝いを、今回立ち上げる出版社でできたらと考えました。
初めて本を出版する研究者にとって、二つの大切な要素があります。それは、その著書が書店を流通するものであること、さらに低コストで出版できることが求められています。
ここで、今までの私の経験と印刷会社を経営をしているという強みを生かして、本を出したい人のニーズに応えることができたらと考えています。そうすれば、多くの有益な情報をより多くの人たちに出版というかたちで伝えることができ、情報を知りたい人のためにも大いにお役にたてることになります。
巨大な隣国である中国の発展は今後もまだまだ続くものと考えられます。
このまま進んでゆけば中国文化が世界を席巻し、中国文化が世界文化のスタンダードとなるというようなことも考えられます。
このような状況下、今まで以上に中国の言語・文化をあらためて深く理解していく必要があると考えられます。
現在、日本国内に来日している留学生の約7割が中国語話者であるといわれておりますが、今後さらに中国人留学生の数が増えていくことが予想されています。とりわけ関西には中国の方が多くおられます。
ここ大阪の地で、当出版社が日中の文化コミュニケーションの発信基地として、中国文化を著した本を出版して多くの人に紹介し広めることによって、この巨大な隣国の言語・文化を多くの日本人に理解してもらえ、また反対に多くの中国の方たちに日本文化とりわけ関西文化の情報を出版を通して発信することによって、日本の言語・文化を理解してもらえることになれば、今後一層その関係を深めていくことになる日本と中国の異文化間の橋渡し役になれるのではと考えております。


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